第5章 日中米/逆ハー? 血ヲ奉納セヨ
「マントすごくcoolだね! ね、俺にもちょっと着させてくれよ!」
「アル、ちょっと待って、ストップ」
さすがにこのままだと、やけっぱちな攻撃をされかねないと思い、アルを止めた。
二人は、アルを害虫でも見るかのような視線でにらんでいた。
それからその視線が、私にうつる。
うらめしそうな、残念そうな。
しかし諦めた様子が微塵もない四つの目に、まっすぐ射抜かれる。
あらためて、背筋が凍りついた。
「どうしたんだい? ――あっ、待ってくれよ!」
「またお会いしましょう、お嬢さん」
「そいつのせいで境界が歪んだみたいある。今回は“戻る”まで時間がかかかるかもしれないあるね」
「えっ……?」
「それまで、いいこにしてるあるよ」
妖艶な笑みと、目を逸らせない金色の瞳を向けられ、肌が粟立った。
チャイナ服の口ぶりは、普通の妖が知らないことまで知っているようだった。
多分、上級の、とても強い妖なのだと思う。
御札がついているのに、あのプレッシャーだ。
御札の封印が解かれたら一体どれほど――