第4章 米/甘 私は恋を疑う
騒がしい地点から離れると、戻ってこようとしていたアルと合流する。
少し驚いた顔をしたが、向こうで聞こえる騒ぎからいろいろ理解したようだ。
一体なにをしてきたのか聞こうとすれば、
「はい!」
「ひゃっ!?」
突然固い金属質のものがの頬に押し付けられる。
思わず声をあげて飛び退くと、缶ジュースを持ったアルがにこーっと笑っていた。
「びっ、びっくりするじゃない!」
怒り気味に言うも、HAHAHAとアルは笑うだけだ。
諦めの念を抱きつつ、しかしわざわざ買ってきてくれたことには感謝し、おとなしく礼を言って受け取る。
アルも、もう片方に持っていた黒い炭酸の缶をあけて飲みだした。
見慣れた景色だと思いながら、私もプルタブをあける。
(あれ、これ私が最近気に入っているジュースじゃん……。)
そう気づいてしまうと、なんだかむずがゆくて、恥ずかしくなってしまった。