第5章 知恵者グレーテル〜旦那が勝つか私が勝つか?
私は調理学校を出た後は小規模のスーパーマーケットに入ってお惣菜作りを任されている。すると瞬く間に私の作ったお惣菜は人気となった。
私の名前は海沼千郷(うみぬま ちさと)。実家は蟹缶を作る工場を営んでいたので食卓にはよく蟹缶を使った料理がテーブルに並んでいた。
「うわぁーおいしそう。」
母は料理上手でおじいちゃんの家が中華料理店だったため、天津飯や蟹玉なんかもよく食卓に並んでいてどれも美味しかった。
そして蟹缶で作ると言えばやっぱりカニクリームコロッケだ。
あのホワイトソースと蟹がマッチしててたまらなく美味しい。
だから、学校給食でカニクリームコロッケや天津飯が出た際は蟹缶ではなくカニカマを使ってるなとすぐにわかった。
もちろん、カニカマを否定してるわけではないが蟹缶で作った方が格段に美味しいのはお分かりだろう。
最初にお惣菜コーナーを任された時に思ったのはまずは見た目を優先したいってこと。味ももちろんだけどお客様が手に取った時に映えるパッケージだとキュンとするし美味しそうという食欲もそそられる。だから盛り付けには細心の注意を払うように心がけようと思った。
エビマヨはエビをカラリと油で揚げてからマヨネーズとケチャップで和えるのだけどもう少し味を足したい何にしよう?
あっ、彩にパセリを入れるのはどうだろう?でも中華にパセリって添え物でしかなくないか?いや、そこを概念を覆して彩りを添えるのよ。
そうやって考えてきた中華惣菜が店舗のお惣菜コーナーにたくさん並んだ。
パラパラのチャーハンにエビマヨ、エビチリ、揚げ餃子に棒餃子、回鍋肉なんかも作った。あとは卵をケチらないでいい所の卵を使ってニラ玉なんか最高よね。
そんな時に私はある男性に出会った。それはいつもお惣菜を買ってくれる常連客の男性だった。