第8章 ブレーメンの音楽隊〜それぞれの過去と向き合った今
私は元々、天然パーマで生まれたの。だから髪型に困らなかったのよね。でもこの髪型や顔も相まってハーフじゃないかと散々言われて来たわ。
でも両親共に日本人だし、外国生まれでもない私からしたら不可解なことだったのよ。
もしかて私は養子だったのかしら?とね。
両親に問い詰めてみたけれど養子ではなく実の娘であることを証明してくれたわ。戸籍謄本や母子手帳にそう書かれていたことをね。
それでも信じられなかった私は嘆いていたわ。
そして1歳の時に保育園に預けられたの。両親が共働きでいなかったからね。最初はみんなに混ざって遊んだりしていたけれど、2歳を過ぎた頃から私の周りには人は寄り付かなくなったわ。みんな、私を避けていたの。2人1組でペアで何かやる時は必ず私が残ったのよ。
あの子とくっつきたくない、一緒にいたくないって。
それから小学校に上がると更に酷くなったわ。私はいじめに遭っていたの。
トイレに駆け込めば上から冷たい水が降ってくる。その後、教室に帰ったら漏らしたと笑われたわ。
もう何がなんだかよね。そして放課後の掃除はいつも私の役目。みんな何かと理由をつけて帰って行ったわ。
「はぁ・・・・また1人か」
まぁ、話せば長くなるんだけど、いじめは加速して行ったわ。
でも両親には話せなかったの。こんなこと話したら迷惑になるんじゃないかって。だから必死に耐えていたわ。
学校の先生は見てみぬふりをしていたから、誰もいじめについて注意する先生なんていなかったわ。
自殺の練習もさせられたりしたけれど、私は執念を燃やしていたから絶対に自殺なんかするもんか!!!と心に留めていたの。
給食の時間で、私のお皿だけに虫が盛られていたこともしょっちゅうあったわ。
私が拒むと後ろからクラスメイトに頭を押さえつけられてお皿に顔を突っ込んだのよ。今でも忘れないわ。
容赦なく髪の毛を切ったり、足を引っ掛けてわざと転ばせたりしてね。
それから中学に上がったわ。卒業文集では明るく振る舞って書いたつもりだけれど、あれは本心ではないわ。