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桜に導かれて【刀剣乱舞※R18】

第6章 初陣



 目が覚めると、わたしはどこかの部屋に寝かされていた。

 恐らくここは先生の本丸だ。わたしの本丸と比較するまでもなく空気が澄んでいるし、何より感じられる刀剣男士の気配が全く違う。先生本人はどこかへ出かけているのか、あの独特な霊力を感じなかった。
 自本丸の廊下で倒れたあとの記憶はないが、ちゃんと先生の本丸に連れて来てもらえたことにホッとした。同時に今の自分の状態が気になったため、軽く身体を動かそうとし、痛みを感じなかったのでそのまま起き上がった。

「(右手と左耳の怪我は完治してる……。少なくとも一日以上は経ってるのかな……。)」

 脇腹の傷は身体を捻るとまだ痛むため、完治にはあと一日・二日ほどかかるだろう。自分の身体の状態や置かれている状況が理解できてくると、次に本丸のことが心配になった。

「(待って、前田藤四郎ってもしかしなくてもずっと刀のまま? 髭切はどうなった? 他の刀剣男士たちは? 話も変なところで終わっちゃったし、大丈夫かな……。)」

 一つのことが気になりだすと、あれもこれもと多くの心配事が次々と頭の中に思い浮かぶ。うわぁ~と頭を抱えた直後、わたしが寝ている部屋に誰かが近づいてくる気配を感じた。勝手に起き上がっていたら怒られるかな……と不安になったわたしは、とりあえず横になることにした。
 廊下と部屋は障子戸で仕切られているため、障子戸の前を誰かが通れば影が見える。それで誰なのか判断しようと思ったわたしは、ジッと障子戸を見つめ続けた。しかし、影を視認するよりも先に気配の主が分かってしまった。

「(この気配は……、前田藤四郎?)」

 何で? どうやって戻ったの? と疑問に思った直後、前田藤四郎を案内していたらしい加州くんの声が聞こえた。

「……ごめんね。本当は中に入れてあげたいんだけど、主と薬研から出入り禁止って言われてて。」
「いえ、こうして本丸に入れていただけただけでも有り難いです。 ……あの、主君のご様子は……?」
「初音はここに来てから丸二日眠ったままだよ。薬研曰く、重傷を負ったことが主な理由だろうけど、それとは別に体が休息を欲してるからじゃないかって。」
「そう、ですか……。」

 加州くんと前田藤四郎の会話を聞いて、二日も眠っていたのかと驚く。


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