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桜に導かれて【刀剣乱舞※R18】

第5章 呪いの猫



 わたしの状態を見て、二振はかなり驚いたようだった。わたしはそんな二振からゆっくりと視線を外し、脇腹に突き刺さったままになっていた刀を抜きながら髭切に話しかける。

「髭切様、お怪我はございませんか?」
「……君、今の自分の状態が分かってないの?」
「理解はしているつもりです。」

 髭切の問いかけに答えながら、わたしは着物の袂で刃についた血を拭き取る。すると、そんなわたしを見て加州清光が焦ったように話しかけてきた。

「ちょ、ちょっと待って。まさか本体を髭切に返すつもり? この状況で?」
「はい、そのつもりですが……。」
「ハア〜!? どう考えてもとどめ刺されて終わりでしょ! 危ないから俺が預かっとくから!」
「鞘も没収しますね〜。」

 加州清光がわたしの手から髭切の本体を奪い取るのとほぼ同時に、鯰尾藤四郎が髭切の腰に下がっていた鞘を奪い取った。
 古参刀はやっぱりいろんな意味で強いな……なんて感心しながらその様子を眺めていると、わたしと髭切の攻防戦が始まってからずっと姿を消していたこんのすけがわたしの足元にやって来る。それと同時に、刀のみの姿になった前田藤四郎を持った鶴丸国永もやって来た。

「これはまた……、随分と凄い事になってるな。」
「審神者様。清鳳様へのご連絡は既に完了しております。急ぎ転送門へ。」
「分かった。ありが……、っ。」
「審神者様!!」
『主君!? 何かあったのですか!?』

 倒れそうになったわたしを近くに居た一期一振が抱き止めてくれる。座らせた方がいいと判断したのか、一期一振はそのままゆっくりと片膝をつき、わたしは彼に体重を預けたままその場に座り込む。
 その間に加州清光がテキパキと指示を出し、髭切は鶴丸国永と鯰尾藤四郎に連れられてどこかへと行ってしまった。一方わたしは、グラグラする頭で「せめて、前田藤四郎を元に戻してあげなきゃ……」などと考えていた。


 しかし到底実行できるはずもなく、わたしはゆっくりと意識を手放した。


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