第4章 アングレカム【五条悟・教師編】
side 五条
『あの…先生…皆には……』
「ん?僕から皆に言うよ。隠す事じゃないでしょ。」
特に恵にはね。どんな顔するのかな。
ちょっと楽しみ…なんて、本当意地悪だね、僕って。
『先生…そろそろ帰るね。このままだと寝ちゃいそうだから…』
「えー、寝ていけばいいじゃない。
朝帰りなよ…離れたくないよ。」
細い体を抱きしめ、頬に口付けながらスルスルと髪に指を通す。
『先生…まだ皆は知らないんだから、またにします。
しっかりして下さい。』
「雫……
さっきまでの甘い雰囲気どこいったの…?」
え…何?賢者タイム?
女の子にもそういうのあったっけ?
まぁ…そういうしっかりしたとこがまた好きなんだけどね。
雫を部屋に送り届け、帰宅すると口角が上がりっぱなしな事に気がついた。
嬉しくて眠れそうにない、なんて…
学生じゃないんだから。
笑えるよね、ホント。
ーーーーーーーーーーーー
「「えーーー!まじで?!」」
何で?!どこが良かったの?!てか、いつからそんな気持ちになったの?!ホントにいいの?!
案の定雫は野薔薇や悠仁から質問攻めにあっている。
「ははっ、酷いね野薔薇は。」
「五条先生…」
「ん?」
「本気って事で大丈夫なんですよね?」
「…………」
僕を鋭く睨みつける恵にファスナーを下げ、首元を見せる。
「…っ……」
「恵が一番知っているようにさ、僕は今まで、誰かを自分の物にしたいとか、まして…
自分が誰かの物になりたいだなんて、ただの1度も思ったことなかったんだよね。」
恵の目を見つめる。
「雫が初めて。他の誰にも渡す気はないよ。」
ふふっ、と笑う僕を驚いた顔で僕を見つめる恵。
「何?」
「いや…先生もそんな…優しい顔するんだな、って…」
「は?僕はいつだって優しいでしょ。」
「ふ……本気ならいいんです。雫も先生を選んだなら…
アイツのこと頼みますよ。」
全く誰に言ってるの?
この野郎ー、私の雫を返せ、とボカスカ僕を殴る野薔薇を困った顔でたしなめる雫を見つめる。
これからも
"ずっと一緒"だよ、
雫。
end.,,