第1章 ベトベト事件
トントン、とまふまふさんがいるであろう部屋の扉をノックする。返事がない。
まさか何かあったのではと扉をそっと開けると、どろりと黄色っぽい何かが流れ込んできてぎょっとした。
「七崎さん……っ」
まふまふさんはその部屋のど真ん中で半泣きそうな顔でこちらを振り返った。……いや、泣きそうな顔に見えたのは、彼の体や部屋中が黄色いっぽい何かで塗れていたからだろうか。
「なん……ですか、この状況……」
言葉を詰まらせながら私は問う。黄色っぽいものはベトベトしていて床に広がっており、扉も開けづらかった。