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こちら、MOB飼育係4[dzl]

第1章 僕は


 僕は中学生のアサヒ。受験するかしないかまだ決まっていない中学二年の僕は、昼休憩の時間になる度にクラスメイトたちから上がる話題に正直うんざりしていた。
 それは。
「ねぇ、うちのMOBがさ〜」
「へぇ、めっちゃ可愛いじゃん!」
 またやってるよ、あそこの女子たち。
 そう。このクラスメイト、というか世間一般的に、手乗りMOBを飼うことがとても流行っているのだ。
 もちろん僕の家にも手乗りMOBがいる。というか両親も姉もみんな手乗りMOB好きで、僕が小さい頃、誕生日に手乗りMOBをプレゼントしてこようとしていたこともあった。
 僕は手乗りMOBを飼わなかった。好きとか嫌いとかじゃなくて、ただなんとなく、選ぶことに違和感があっただけ。それがなんなのか分かんないけど、とにかくクラスメイトの中で手乗りMOBを飼っていないのは僕だけなので、周りとちょっと浮いていたくらい。それは別に全然構わないんだけど、僕の家が金持ちだからかなんなのか、やたら話し掛けにくる女子たちにもちょっとうんざりしていた。
「ねぇ、アサヒくんは、MOB飼わないの?」
 決まってこう聞かれるからだ。
 次には、アサヒくんのお家お金持ちそうだから飼ってるんだと思った〜と必ず言われるので、僕は毎回姉のところに五人MOBがいるから充分なのだと返して置く。
 すると姉の話に転じて僕のことは聞かれなくなるからいつもそれでかわしているのだが。
 姉も姉で風変わりなので僕はあまり喋り過ぎないようにしていた。
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