第2章 黄色い幽霊
「えっと……」
私は周囲を見渡す。
見渡すといっても、ここは廊下なのだからそこまで広くはないのだが、私が確認したかったのは景色ではなく、周りに人がいないかどうかということである。
結果、周りには誰もいない。
私は、幽霊といっても人に憑いている守護霊が見える人間だった。だが、ここでドズル社のゲーム実況者さんたちに視えることを受け入れてもらったり、白蛇と会話するようになったのがきっかけか、幽霊だけを視ることが度々あったのだ。
霊体の黄色い魚は未だそこに留まっている。私は、とりあえず話し掛けてみることにした。
「あの〜……」
その時、魚はぴょんっと跳ねて泳ぎ出した。泳いだといっても空気中を、まるで水中かのように泳いで階段を下りて行く。私は思わずその魚を追い掛けた。