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【東リベ】捨てられた猫【九井一】

第7章 エピローグ



晴れて付き合うことになったあの日から1年。
一は正座をして秘書を見上げていた。

「よろしいですか?会長、反省なさってください」

「だから責任取るって!というか元よりそのつもりで...」

「責任取るのは当然のことです!...公表するにしても光莉さんは一般人です、負担がかかるのは必至でしょう」

「でもいずれは公表しなきゃいけないなら、早目の方が私としても有難いので大丈夫ですよ」

ソファに座る光莉は怒られている一が居たたまれず、慌てて助け舟を出す。勿論早目が良いのは本心だ。
公表が遅れれば身体や精神への負担は増すだろう、それは避けたい。

「それより、状況そのまま公表するんですか?」

「嘘が必要な場合もありますが、この場合はそのまま公表が良いと思います。痛くもない腹を探られのは面白くないですから」

「公表って...芸能人でもねぇのに大事にする必要あんのか?」

面倒そうに呟いた一は自分がどれだけ世の中から注目されているのか忘れているらしい。
若くして会社を興し新進気鋭の社長として騒がれ、興した会社はグングンと成長し今や誰もが聞いたことがあるような会社となった。

まぁ、若くて会長で顔も良い。メディアと世間の女子は色めき立ったんだろうなぁ。

他人事の様に考える光莉自身テレビや雑誌を見ることが少なく、一が会社の会長だということすら知らなかった。

「好きで人前出た訳じゃねェだろ。勝手に騒いで女と行動すりゃスキャンダルだって追い回しやがって、恋愛も結婚も自由な時代なのにおかしいだろ!?」

「私に言われても困ります。会社を軌道に乗せるために己を看板としたというのはあくまで内情であり世間にはこれっぽっちも関係ありません」

その企ては成功といえる。
様々なマーケティングがある中でも、一にはうってつけだったのだろう。
秘書に冷静にあしらわれた一はガックリと肩を落とす。

「有名税、ってやつじゃない?会長さんも大変だね」

光莉は苦笑したがふと手に持つカップが空になっていることに気づきソファから立ち上がる、それより先に一が立ち上がり光莉の肩を抑えた。

「大人しくしてろ、コケたりしたら危ねぇだろ」

「あんまり動かないのも良くないんだってお医者さんは言ってたよ」

ダメだ、と言い置いて一がキッチンへと向かう。
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