第1章 プロローグ
多くの人々が行き交う街東京。
会社帰りのサラリーマン、学校帰りの学生、子供の手を引いて歩く親。
幸せそうでいいよなぁ
その光景を眺めつつため息を吐き出した綾瀬 光莉は不運なことに今日、たった1人この街に放り出されることになった。
「今流行りのP活でもするか、手っ取り早く風俗に行くか」
スマホの電池残量が減ると同時に自分の死期が近付いているのではないかと錯覚する。投げ遣りな言葉は誰の耳にも届かず雑踏にかき消されていく。
スマホの画面に写し出される電話番号は何度かけ直しても繋がらない、恐らく着信拒否、ではなくお金が払えなくなったのだろう。
「なんでこんなことになるのよぉぉぉ!」
光莉の叫びは虚しく、これまた雑踏へと消えて行くのだった。