第5章 デートくらい出来ます
「……お互い人生を賭けようか。」
「はい?」
顔を上げて真っ直ぐに見てくる悟に、しずくは変な声が出た。
そんなしずくの顔を見て、悟はニッコリ笑った。
「しずくは好きな様に過ごしていい。もちろん恋愛しても……。
お互いの人生を賭けて勝負しようよ。」
「……何を言っているの?」
悟の言いたいことが分からなくて、しずくは困惑した顔を見せる。
そんなしずくの手を取って、悟はその手の甲にキスをした。
「……僕の子供を先に授かるか、他の男の子供を授かるか。
お互いの人生を掛けて勝負しようよ。」
あたかもそれが最善の良い提案の様に、悟は強気な表情でしずくに言った。
「……何馬鹿な事言ってるの……。」
「しずくが愛人に会いに行く日は絶対に僕もしずくを抱く。
先でも後でもどっちでもいいよ。
それで出来た子供が他の男の子供ならしずくの勝ち。
離婚してやるよ。
だけどしずくが僕の子供を宿したのなら…僕の勝ちだ。
君は今まで通り順応な妻として僕と一緒に一生いることになる。」