第15章 最終章
「…離婚…おめでとうございます…。」
「……はい……。」
しずくは七海と岐阜駅の近くのカフェで待ち合わせした。
彼が来たのは仕事では無い。
しずくが東京を去ったと聞いて、わざわざ会いに来たのだ。
しずくは少し戸惑いながら、来たコーヒーに口をつけると、チラッと目の前の七海を見た。
七海はいつもの様に、優しい顔でしずくを見ていた。
でも、今日は少し悲しそうにも見える。
その表情をさせているのが自分だと分かるので、しずくは再び目線を伏せた。
カチャッと、七海のカップがソーサーに置かれた音がした。
「…………。」
しばらくお互い無言だったが、先に喋ったのは七海だった。
「…私は離婚をする為だけの相手役でしたか?」
七海は目を伏せながら、小さく言った。
その七海の表情に、しずくは胸が痛んだ。