第12章 お互いのパートナーを決めましょう
「おかえりなさい…。」
「ただいま…。」
悟が帰ってきた時に、ちょうどお風呂から上がった。
声をかけて悟が答えると、そのまま悟は自分の部屋に入って行った。
あの日から、元の生活に戻った。
今までの様に、顔を合わせない様に自分の部屋に入る悟の背中を見送った。
『しずく、好きだよ。』
そう囁いて抱かれていた日々がまるで無かったように、悟は元の悟に戻った。
それに少しだけ胸が痛んだが、これでよかったとも思えた。
やっと悟が離婚を視野に入れたのだ。
悟の態度を見ながらそう思った。
しずくは自分の部屋に入ると、ベットに横になった。
……このベットはこんなに広かっただろうか。
狭くて、寝返りも出来ない位に。
抱き締められて一緒に寝ていた。
…そう言えば、悟はご飯は要らないのだろうか…。
聞いても前の様に『要らない』と答えるだけだろう。
しずくは当たり前に戻った日常に、ゆっくりと目を閉じた。