第11章 この最低男
ちゅっちゅっと何度も唇を合わせて、舌を絡めた。
あんなに嫌いと言っていたのに、しずくは悟からのキスを素直に受け入れている。
(何なんだよ…。)
悟はぎゅっと目を顰めて、唇を離すとしずくを抱き締めた。
「……もう七海が居ても意地悪しないから…。」
悟の声が耳元で小さく聞こえた。
だけども抱き付いている腕は痛い位だった。
「七海と沢山恋愛していい…。」
僕がしずくにしてあげられない事を七海で満たしてきてもいい。
「…恋愛してSEXしたって構わない。」
だけど、七海との子供だけは作らないで。
「だから離婚しないで… このまま僕と暮らそう…。ずっと…。」
僕の奥さんはしずくしか考えなれないんだ。
もうずっと前から。
ああ…なのに…。
やっぱりしずくは僕の気持ちに応えてくれなさそうだ。
何も言わないしずくを抱き締めながら、悟はゆっくり目を閉じた。
離婚話はしずくの勝ちの様だ。