第11章 この最低男
「… しずく、七海との時間は楽しかった?」
スッと顔を近付けて、悟はしずくの顔を覗き込む様に言った。
機嫌が悪い理由はそれか…。
しずくは目を薄っすら開けて、面白そうに笑っている悟の顔を見た。
「ねぇ、七海とどんな話するの?」
『そろそろ、夜会いましょうか。』
急に七海の言葉を思い出して、彼が触れた手の感触が蘇った。
その時の気持ちまでぶり返って、かぁっと顔が熱くなって、体がさらに疼いた。
「あっ…。」
七海を思い出して、情欲が更に濃くなったしずくの顔に、悟は目を細めた。
さっきよりも体をくねらせて、下半身の疼きを耐えている様だった。
(……もう限界だ…。)
「悟…お願いだから……どうにかして……。」
目を潤ませながら、縋るようにしずくは悟にお願いした。
やっと聞けたしずくの甘い声は、自分以外の男を思い出して出た声だった。