第9章 とても変な夫婦関係です
汗なのか涙なのか分からない位に濡れた頬に、キスしていた唇が耳元のに移動する。
「おやすみしずく、僕たちの新しい夫婦の関係だよ。」
悟におやすみと言われて、急に瞼が重たくなった。
ー…新しい夫婦の関係?
それが何か聞こうとしても、もう意識は持たなかった。
しずくは悟の腕の中で、彼の笑みを見ながら、ゆっくりと目を瞑った。
「…………。」
知らない天井…。
そうか、昨日から仙台に来ているんだ。
朝目が覚めて、しばらくぼーっと天井を見ていた。
「おはようしずく、体大丈夫?」
そう声を掛けて隣に居るのは、自分の妻を気遣う様に頬を撫でる悟。
その笑顔に、しずくは目を細めた。
『僕の事を好きにさせて、離婚してやる。』
そう決めたのか。
しずくはその悟の笑顔を見て分かった。
悟が本気で怒っていると。