第9章 とても変な夫婦関係です
「……じゃあ…何で10年間結婚してたの?」
「……あなたがそう仕向けてたんじゃ無い。
それに、さっき会場で言った通り、私もそれなりに楽に暮らしていたわよ。」
つまり、この10年間は、しずくの感情は一切無く。
悟の思い通りの生活、そのままだったと言う事だ。
「そんな生活を、恋愛したいってだけで手放すの?」
「…そうね…結局向いて無かった。」
そう言うと、しずくは悟に背を向けて歩き出した。
散歩はお終いの様だ。
「向いて無くても、しずくは折り合いを付けてちゃんとやれてたじゃ無いか。
いきなり出来なくなるはず無いだろう。」
恋愛や情欲の他にあるはずだ。
離婚を決めた、決定的な何かが。
「それを知ってどうするの?
さっきの通り、目ぼしい子は決めておいたから、後はあなたと本家で次の奥さんを決めてね。」
スタスタと歩いて行くしずくの肩を悟が掴んだ。