第8章 私の初恋でした
そう言って、しずくの髪の毛を離すと、悟は部屋から出て行った。
結婚式からの疲労も溜まって、しずくは出て行った悟をただ見送って、そのまま目を閉じた。
「っ!」
どの位寝たのだろうか。
カーテンの外が明るいのを感じて、しずくは目を覚ました。
体を起こそうとして、下半身に鈍い痛みが走った。
自分の体の情事の痕を見て、しずくは目を細めた。
(…そうだ…悟は?)
しずくは簡単に着れる部屋着を探して着ると、リビングに向かった。
「おはよう、起きて大丈夫なの?」
リビングにはすでに高専の制服を着た悟が居た。
「あ…おはよう…。」
今から仕事に行くのだろうか…結婚初日なのに…。
しずくの顔が少し曇ったのを見て、悟は目を細めた。
「……しずくはゆっくりしてなよ、僕は別に自分の事は自分で出来るから…。」
ニッコリ笑って、一見気を遣っている様に見えるのに、悟の言葉に何の感情も感じなかった。