第7章 あなたの婚約者です
まぁ、随分前からあの家で1人過ごす誕生日もつまらなかったので、その日は旅行に行く様にしていたが。
それすら悟は気を使わないでよくて、楽だっただろう。
「……新婚旅行行きたかった?」
「…いいえ。」
「誕生日は…祝った方が良かった?」
「…もう随分前からそんな風に考えた事無かった。」
「僕はひどい夫だった?」
「……そうね…。」
「しずく、寝室は一緒が良かった?」
「…1人の方が広くてよく寝れるわよ…。」
「……いつから……。」
「………?」
「いつからしずくはそうなったんだっけ…。」
今日のお見合いパーティーの成り行きを見ながら、お互いに初めて会ったあの日を思い出していた様だった。
今のしずくと違って、あの頃のしずくはまだ悟に恋をしていた。
同じ状況で、他の女の子を見ても、今思う事はその時のしずくを押し殺したのは自分だったと再確認しただけだった。
それがいつ。
どのタイミングでしずくがそうなったのかなんて、悟にはさっぱり分からない。
分からないから、あの時の事を思い返す位しかもう出来なかった……。