第7章 あなたの婚約者です
10年前に見た光景…。
違う所と言えば……人数が増えていないか?
(数打ちゃ当たるってもんでもないだろ。)
悟はギロッとしずくを見下ろした。
一方、しずくは不純にも、その光景に懐かしさを感じていた。
悟からすれば不愉快な記憶だろうが。
今でもハッキリ覚えている。
よく分からずに何故か集められた女の子達。
戸惑っている最中に悟が現れた。
その時の胸の高鳴りは、人生であの時一度だけだっただろう。
こうして不躾に入って来た悟にさえ、その目を奪われた。
今の彼女達の様に、悟にぽーっとなって見惚れていた。
その頃の自分を思い出す様に、しずくはぼうっとその光景を見ていた。
「…… しずく?」
悟がぼうっとしているしずくに声を掛けた。
「……始めましょうか…。」
しずくは咳払いをして、ガワ付いている会場の真ん中に居た。