第7章 あなたの婚約者です
……………。
これはどうした事だろうか。
しずくは重苦しい気持ちで目が覚めると、目の前にあった悟の寝顔に呆然とした。
悟が情事の後に、この部屋で寝た事なんて一度も無かったからだ。
しずくは自分の体に巻き付いている悟の腕を放り投げると、ムクッと体を起こした。
その衝動で、悟もまた目を覚ます。
「……ひどいなぁ…。」
夫婦で寝ていてこんな風に放り投り出されるのは、中々キツい仕打ちだ。
「……早く自分の部屋に帰ってよ。」
さっきまで自分の腕の中で可愛いくしがみ付いていた しずくはもうそこには居ない。
悟は黙って起き上がると、投げ出した服を着はじめた。
しずくは悟と目を合わせようともしなくて、さっさと自分も服を着る。
「……一緒にお風呂入る?」
ツンツンしている しずくの後ろから、悟は しずくの耳元で囁いた。