第2章 #01―マリーゴールド―
カリンside―
エレンとミカサが家の方に走り出してしまった。
私はどうしたら良いの?
お兄ちゃん……ハッ!
あっちには私の家がっ!
アルミン「ッ!カリンまで……!!」
気づいた時には引き止めるアルミンの手を振り解き走っていた。
お兄ちゃんお兄ちゃんお兄ちゃん……!無事でいて!
あそこの坂を登りきったらきっと!いつもの家が……っ!
アルスト「クッ、カリン……?」
「お兄ちゃん!!!!」
崩れた家に左足首を潰され、額から血を流しているお兄ちゃん。
すぐに駆け寄り、近くにあった木の棒を足と家の間に差し込みテコの原理で浮かす。
足を何とか引き抜いたお兄ちゃんを見て安堵する。
良かった、一緒に逃げれ……る……
ッッ!!!
ドシンドシンという地ならしと共に巨人が迫ってくる。
「あ、あ、おに、ちゃん。早く逃げない、と……!」
リコ「あなた達っ!早くたちなさい!」
銀色の髪の毛にメガネをした駐屯兵団のお姉さんが走ってくる。
でもきっと間に合わない……。だって巨人は私の頭をつかもうとしているのだから。
―ドン!
アルスト「カリン……!」
お兄ちゃんが押してくれた勢いで何とか掴まれずに済んだ。家の影に一旦身を潜める。
アルスト「いいかい、カリン。よく聞くんだよ?」
いつもの優しい、変わらない声。
アルスト「僕はこんな足だし、もう逃げられない。貧血で倒れるかもしれない。」
「何を言ってるの?一緒に……」
アルスト「ごめんな、ごめん。でもカリンには生きていて欲しいんだ。僕が何とか時間を稼ぐから、遠くからこっちに来てるメガネのお姉さんの所に全力で走って行きなさい。」
「やだよっ!そんな事言わないで……!」
アルスト「カリンと過ごす時間がすごく好きだった。君はどんな大人になるんだろうね、きっとすごく綺麗になる。いい旦那さんを貰って、いいお母さんになるんだ、どうだ?幸せだろう?」
「私お兄ちゃんのお嫁さんになるって昔約束したじゃない!嘘つくなんて酷い!許さないんだからn―――ッ!」
瞬間お兄ちゃんの唇が触れる。そのまま抱き締めて、次の瞬間私を押し退けて、覚悟を決めたかのように巨人の前に出る。
背中越しに振り返り、いつもと同じ変わらない笑顔を私に向ける。
アルスト「カリン…。愛してる。これかもずっとだ!僕の妹!幸せにな―」
