第33章 神戸北野へ行こう!
『僕が異人館に北野に来たのって、
小学生の頃にスタンプラリーか
なんかのイベントしてた時なんですよ。
当時なんて、異人館なんて
外人さんの家って程度にしか思って無くて、
それぞれの洋館の持ち主に思いをはせて
当時の神戸の様子とか想像しながら
見学して回ると…また違いますね』
そんな話をして…
まず目の前に飛び込んで来たのは、
グリーンの壁紙のお部屋なんだけど。
「待ってッ!ちょ…ここッ
色々と理解が追いつかないんだけど…?」
グリーンの壁紙に、
黒と白のチェックの床板。
壁からはピンク色のカバと
ゼブラ柄の豚、ホルスタインの
柄をしたキリンのトロフィー。
そして窓の外の街並みには
ペンギン達が空を飛んでいる。
色々な所があべこべな部屋が
目の前に突如として現れて
巴は目の前の光景に
どうリアクションしていいのか
困惑してしまって居たのだが。
見れば見る程おかしな場所しか
見えてこない緑の部屋のお隣は、
赤とピンクの部屋が続いていて。
さっきの部屋と同じ様に、
赤とピンクのチェックの床板。
赤い壁紙に赤いカーテン。
ロココ調のアンティークな
家具の上にはピンクのバラが
ぎっしりと敷き詰められてて。
カラフルなドレスを身に纏った
紙人形達が舞踏会をしていて。
まるで…何かの童話の
世界にでも…紛れ込んだみたいだ。
『さっきは不思議の部屋でしたけど
こっちは赤とピンクのバラバラしてて
可愛い感じのお部屋になってますね』
その他にも…個性的な…
全部で5つのお部屋があって。
これは…何だろう…
インパクトが…一番凄かったな。
洋館長室を後にして、
最後の異人館であるベンの家を
彼と一緒に訪れた。
「ベンの家は…知ってる…。
風見鶏の館とか、うろこの家とは
別のベクトルで有名だよね?」
現存している異人館の中で
ベンの家はもっとも古く
塀、壁、窓枠に至るまで、
明治35年建築当時のまま残されている。
このお屋敷の外のレンガの塀は
当時のドイツから取り寄せたレンガで
作られた塀なのだそうだ。
英国の貴族ベンアリソン氏の
剥製コレクションが所狭しと
お屋敷の中に展示されている。