第28章 城崎温泉の…朝
その辺りは…お商売って感じなんだけど。
『巴さん、どっちが沢山
アジ釣れるか競争しましょうよ』
彼が1本700円の竿を買ってくれて。
受け付けのお兄さんから
竿を渡して貰って、釣り方の
レクチャーを受ける。
海釣り公園の様になっていて。
生け簀の様になってる部分を
上から覗き込めば
数百匹とか…居そうな数が居て。
エサを付けて針落とせば
即座にアジが食いつきに来る
入れ食い状態なので。
エサだけ取られたりとか
走ったりされなけば。
700円のレンタルの竿で、
豆アジサイズの小さいアジを
10匹以上釣る事が出来る。
中には…海と繋がってるから
別の魚が混じってることがあって。
アジの群れの中に違う影が
目を凝らすと混じってるのが見える。
港斗君が…アジ釣りのコツを教えてくれて。
オキアミの頭と尻尾は取って
胴体だけ使う事と、
警戒心とかないから
綺麗に針は隠さなくても大丈夫って。
言われた通りに針にオキアミを付けて。
中に落とす時には、水面のギリギリで
掛かっても慌てずに
ゆっくり上げて、糸を持つと針の所の
糸が弱いから切れるから
静かに地面に竿を降ろして
アジを外して下さいねと。
言いながら、1匹釣って見せてくれて。
こっちがエサを付けてる間に
もう1匹さらに可愛いサイズの
アジを釣っていて。
自分もアジを釣るぞと
意気込んでみたものの…。
勢い良く…走って行かれた?ので
糸が釣る前に切れてしまって。
針が無くなった竿を持って
竿の回収をしてるおじさんの
スタッフの人の所に持って行くと。
何匹釣れましたか?と聞かれて。
釣れてないですと言うと、
その場で胸ポケットの所に
数本引っかけていた釣り針を
1分も掛からない速さで、
私が渡した竿に付け直してくれて。
『はい、お姉さん、
これでもう1回頑張って来てね~』と
渡した竿が元に戻て
自分の手元に戻って来て。
全然釣れなかったら
付け直してくれるみたいだった。
その後は港斗君に
言われた通りに釣ってみたら。
自分でもびっくりする位に
ドンドン可愛いサイズのアジが釣れて。
13匹ぐらい…釣った時に
こんなに大きいの居たの?って
言うサイズのアジが釣れて。