第26章 城崎温泉そぞろ歩き
冗談交じりに、黒に近い
ダークグレーにグレーの
大きな金魚が泳いでいる浴衣を
彼に見せると、それ良いですねって
僕もそれ良いなって思ってたんですと。
冗談のつもりでネタ枠で
これは?ってしたら
それが良いってなったので
あっさりと彼の浴衣は決まって。
彼は藤色に近い感じの
少しだけピンクの色味を帯びた
色の地色に、白の大柄の
ツバキが描かれた浴衣を選んでくれて。
『これなんか…どうですか?
大人可愛い感じで、似合いそうですよ』
彼がそう大人可愛いと
表現した様に全体の色味が
統一されているから
大柄なのにそこまでの派手さもなくて
落ち着いた印象の一枚だった。
『どうですか?巴さん』
「港斗君が選んでくれたし、
この浴衣貸して頂けますか?」
『はいどうぞ、でしたら
こちらの大人兵児帯が
合うと思いますので』
そう言いながらフロントの
従業員の女性が
これまた落ち着いた色合いの
黒と紫の波の模様の
兵児帯を出して来てくれて。
手に持っていた浴衣の上に
こんな感じですと
イメージを見せてくれる。
『絶対お似合いですよ、
この帯も貸して頂けるんですか?』
男性にはこちらをどうぞと
結ばなくていい
ワンタッチ角帯を貸してくれて。
これも外国人の
観光客に簡単でいいと
人気なのだそうだ。
浴衣を借りて来て
特別室に戻って来ると
エアコンがガンガンになってて
部屋の中が暑い位に
温度があげてある事に気が付いて。
『今からだったら、
1回だけしか出来ませんけど…
浴衣着る前に…脱いじゃいましょうか』
お部屋にはベッドがあるから
和室でお布団を用意して貰わなくても
いつでも好きなタイミングで
ベッドを利用する事が出来る。
ベッドは2人で寝ても
余裕があるワイドキングサイズ。
居間の部分とベッドルーム合わせて
広いお部屋だなって思ってたら
広さは20畳あるらしい。
着ていたダウンコートを
彼の手で脱がされて。
ベッドに移動する間も惜しんで
居間の所で立ったままで
抱き合ってキスをする。
そのまま…キスが…
お互いの舌を絡め合う
濃厚なキスに変わって行く。