第21章 2024年1月1日
「今はねぇ…インフルエンザとか
コロナとかもあるし…、混雑を避けて
三が日じゃなくて松の内に…とか
1月の間に…とか、神社によっては
旧正月までって言う所もあるし…。
大事なのは…参りたいって思う
気持ちの方だと思うからね…」
その…今日は…初詣に行こうとして
参れない終いで終わっちゃったから。
『巴さん…、あの…
あんな感じになってしまって
言いそびれてた事があるんですけど…。
西宮神社って…毎年テレビに…』
今日、初詣に行った
西宮神社は別名を
西宮えびす…えべっさんで
地元の人達に慣れ親しまれている。
全国にある恵比寿神社の総本社だ。
有名なのは…毎年1月10日の
10日エビスに合わせて行われる。
福男選び。
正式名称は
”十日戎開門神事福男選び”は
毎年その様子がテレビで放送される。
いや…実はの話…。
この彼なら
福男になってたりしそうだなって。
参拝の列に並んでいる時に
ぼんやりと考えてたんだけど。
「10日エビスの、福男選びの事?」
『僕、あれ、大学生の時に
なった事あるんですよ…実は』
「そうなんだ…」
『え?リアクション薄くないです?
驚いてくれないんですか?』
「いや、…何となくだけど…。
港斗君なら…
なった経験ありそうだなって。
でも…毎年テレビのニュースで
福男選びは流れてるから。
もしかしたら、その年のニュースで
テレビで港斗君の事見てたかも…ね?」
港斗君にとっては地元の神社だし、
福男になった思い出の場所でもある…んだ。
「ねぇ、港斗君…明日…やっぱり
あんな風に言ったんだけど。
初詣…やり直して良いかな?」
『ええ、勿論良いですよ。
行きましょう初詣リベンジで!
じゃあ、僕は自分の部屋に
いますから。何かあったら
僕の所に来てくださいね?
あ、明日は…ドラッグストアで
ゴム買って帰りましょうね?
あ、折角ですしラブホテルの方が
良いですかね?今年のラブホの
行き初めしますか?巴さん』
「港斗君が…行きたいなら…」
『どうせ、垂水まで戻るんですし
あそこにしませんか?前に
一緒に行った、ベノアリゾート』