第20章 2人の年越し
『巴さんと…一緒に…
年越し…出来るのって…
嬉しいなって思ったんで…。
こんな物位しか、
用意してないんですけど…』
「こんな物?って…」
彼のその口ぶりだと…、
ジャスミンとムスクの
華やかで官能的な香りのする
ルームフレグランス以外にも
何か…を用意してくれてる様で。
ベッドサイドテーブルの上に
シャンパングラスが2つ
シャンパンと一緒に置いてあるのが
ライトの光でそこが明るいから見えていて。
「港斗君…あれ…、
もしかしてベッドで飲むの?」
『普段…は…そんな事…しないけど。
なんか…海外とかのホテルで
ベッドで朝食食べたりしますよね?
だったら、ベッドでシャンパン飲んで
お祝いしても良いのかなって…』
ベッドルームはかなり
暗めにしてあって。
『巴さん…、ベッドの上…
物置いてあるんで…
気を付けて、上がって下さい』
そう言われて目を凝らすと、
ベッドの上に何かが置いてあるのが見える。
「港斗君…これ…なに?」
ベッドのど真ん中を
何かが占領している。
『Amazonで買った
3000円位の、
安物のやつなんですけど。
スピーカー付きの、
プロジェクターライトです。
安いんですけど、評価良くて。
星空とかオーロラとか…
部屋の天井に映せるみたいで…』
とりあえず…スイッチ
オンにしてみますねと…。
彼がそのプロジェクターライトの
スイッチを入れると。
紫色のオーロラと星が部屋の壁と
天井に映し出されて。
その幻想的な…光景に
口を開けたままで見上げていて。
「凄い…綺麗…ッ」
『あ、色とか…調整出来ますよ…』
彼がそう言って本体を操作すると、
紫色のオーロラが青になり
ピンクや…緑に色を変える。
『スピーカーなので、
これから音楽も…流せますよ?』
「凄いよ…?綺麗…だよ?
色も色々変えられて…、
音楽も流せて3000円?」
『Amazonで…3000円でしたよ?
僕も…巴さんが、ここまで
これで喜んでくれるとは…
思ってませんでしたから、
僕としても…嬉しいですけど…ね?
じゃあ、折角ですし、
これ眺めながら飲んじゃいますか…?』