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12歳年下の彼に溺愛される話

第15章 雄介からの電話




彼と…雄介さんと
別れた後は…、あれから
考え直して自分には巴しか
考えられないとか…そんな電話が
あわよくば…思い直してくれて。
掛かって来るんじゃないかって…。
そんな事を考えていたけど…。

そんな…期待を…いつの間にか…
抱く事も…無くなって。
自分のスマートフォンのアドレス帳から
彼のデータを削除してから…
もう…半年ぐらい…経ってる。

スマートフォンの中のデータは
綺麗さっぱり消えてしまったけど。
私の…頭の中…からも、
私の…心の中からも…
綺麗さっぱりとは…彼は

雄介さんは…消えてくれて…なくて。

鳴り続ける着信音が、
リビングに響いて居て。

グイっと隣から身体を引き寄せられて。
ハッと…巴が現実に引き寄せられる。

巴が隣に視線を移すと、
うん…とこちらを見つめながら
彼が…港斗君が力強く頷いて。

うん…と巴も自分の首を縦に振った。

『通話…スピーカーにして貰えますか?』

雄介さんが私に何を言いたいのか
彼もその内容を聞きたいのだろう。
私から聞いた話を、後で
また聞きするよりも…。
彼…が…感じた事も思ってる事も
ありのままの言葉で自分も聞いて
受け止めたいと言う…意味…なんだろう。


ピッ…ー 震える指先で
巴が応答ボタンをタップした。

「はい…、もしもし…?」

『もしもし…?巴か…?
憶えてる…か…?俺だよ…雄介だよ』

「今更…、その雄介さんが…
私に…何の用事があるの…?」

『ああ、その事…なんだけどな…。
今日…あの女とは…離婚する事になった』

雄介さんは
巴の返事も待たずに
そのまま自分の話したい事を
早口になりながら、話した。

ずっと雄介さんと付き合う前から
セフレの関係だった”まーくん”
との事が発覚して、自分の子供だと
思い込んでいた子供は実は
自分の子供じゃなくて、
自分はあの森園美海に騙されてただけだと。

「そう…」

長々と自分の事を話した雄介に対して。
巴は短く、問い直す事も
哀れみの言葉も掛けずにそれだけ返した。

『だから……俺と…』

「でも…、私には…
それもこれも…、今から
貴方が私に言おうとしてる事も
全部…関係ない話だし、
どうでもいい話だから…。
全部…、終わった話でしょう?」
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