第14章 決戦は土曜日に…
元田さんが言うには、
白いバラには相思相愛とか
私はあなたに相応しいと言う
そんな意味があるのだそうで。
ふたりは帰って行くゲストの
見送りに玄関に行ってしまって。
会場には片付けを手伝ってくれる
親しい面子だけが数人残って居た。
巴が…
テーブルに飾られていた
生花の中から白いバラを手に取って。
『巴さん?…』
彼の着ているブラックスーツの
胸のポケットにそのバラを
挿して、彼に自分の気持ちを返した。
「そ…相思相愛…らしいから…
その、こうした方が…、
その、いい…かなって」
花嫁の控室にいたいとこの人が
チャペルの片付けをする前に
一緒に記念撮影したらどうだと
私と彼に声を掛けて来てくれて。
写真を撮ってくれると言うので。
誰も居ないチャペルで
2人だけの…と言うか
そのお友達の人の撮影で…
記念撮影を楽しませて貰って。
元々着ていた港斗君が買ってくれた
紺色のパーティドレスに着替えて。
会場の片付けのお手伝いをした。
『すいません、
巴さんにまで
片付け手伝って貰っちゃって』
ううんと巴が首を左右に振って。
「ううん…今日は
この結婚式に呼んで貰えて
良かったなって。
こんな素敵なオリジナルの結婚式
普通のホテルとかじゃ
出来ないだろうから…」
『僕は…、巴さんとの
結婚式は…あの船がいいなと…
そんな風に思ってるんですけどね?
二次会が異人館とかでも…
良いでしょうね』
『お、港斗…結婚式の事なら
色々と俺達も相談に乗るぞ?
俺と真希も…どうするか
結構悩んだもんな?結婚式は…
出来るだけ費用は抑えたいし、
その分新婚旅行とか…
新居の頭金とか使いたいだろ?
でも…来て貰ったゲストには
楽しかったとか来て良かったって
損したって思われたくないじゃん?』
奥さんの方は安物のドレスだから
もうどうなってもいいみたいで
そのままの恰好で片付けをしていて。
お友達の人達が今日の主役なんだから
そんな事しなくていいよって
そう言っているのに、真希さんが
自分達の結婚式だから
ちゃんと自分達で
最後までするんだよって言ってて。
彼女はしっかりとした
奥さんになりそうだなと思いながら
巴はそれを見ていた。