第14章 決戦は土曜日に…
『巴さん…、すいません
身体…持ち上げますね』
そう港斗君がこっちに言って来て、
ひょいと軽々しくお姫様抱っこをされて。
もう完璧に結婚式の…披露宴の
再入場みたいな演出の中で。
会場から…の大きな拍手と
こっちこっちと各テーブルから
顔をこっちに向ける様に声を掛けられて。
記念撮影をされてしまう。
『うちの連中は…、いつも
こんなノリの…連中なんで…。
今日は…院長の驕りの酒も
良い感じに入ってますしね…
恥ずかしいかも知れませんが…
ちょっと…我慢して貰って良いですか?』
自分が悪い…と言うか
せっかくのお祝いの場を…
壊して台無しにしてしまった…
その責任の一部は…私にもあるので。
私は拒否権が…ない気がする。
『ああ、やっぱり…
新郎新婦の…誓いのキスが……
やっぱり…みたいよなぁ?』
そう…ボソッと…、院長と
院長婦人と同じテーブルに居た。
港斗君のいる事務所の部長さんが
そう…言って…、会場から手拍子と
共にキスキスコールが巻き起こる。
ある意味…別の意味で
この結婚式を台無しにしてるのでは?と
巴がそう思っていると。
新郎新婦のふたりもニコニコで
一緒にコールしてたので。
『う―――ん、これは…
するまで許して貰え無さそうなので…。
ちょっとだけ…しますけど、
許して下さいね?巴さん』
と言うコールの間もこっちを
お姫様抱っこのままで居られるのは
普段から鍛えてる彼だからだろうけど。
そのまま…ちゅぅ…と
頬にキス…されてしまって。
ブーイングが起こったので
これではダメと言う事らしく。
すいませんと謝られながら、
ちゅ…と唇にキスをされてしまって。
さっきの…出窓の楕円形のソファは、
私はあっちに行きますねと。
森園さんが居た場所に
葵が座ると言って移動して行ったので。
2組同時結婚式みたいな…
そんな状態になってしまって居て。
ウエディングドレスなので
お料理を取りに行けない私の代りに
葵ちゃんと港斗君が、
あれこれとテーブルに運んで来てくれて。
借りものの純白のドレスを
汚さない様にしながら美味しい
お料理を頂いたのだが。
「あの人…あの後、
すんなり…帰ったの…かな?」