第14章 決戦は土曜日に…
『う~~ん、あれぇ?さっきも
この道を通った気がするなぁ~』
私と同じ様にして、
スマートフォンを片手に
歩いているパーティドレスに
コートを羽織った装いの
20代前半の若い女性を見かけた。
「あの…、すいません…。
もしかして…旧レイン邸に
向われる途中ですか?私も
そちらの結婚式に招待されてまして。
向って居る途中なのですけど…、
もし、ご迷惑でなければ…
そこまで、
ご一緒させて頂いてもいいですか?」
『えっ!!本当ですか?
良いんですか?わぁ――い!
ありがとうございます、嬉しいです。
女神様です。助かりましたぁ~。
私、さっきからずっと…かれこれ
20分程この辺りをウロウロしてましてぇ』
駐車場の場所からは、
旧レイン邸は徒歩5分程度なので
どう考えても20分は掛からないから。
この…人は…方向音痴…なんだろうな多分。
この辺りは異人館のエリアだから、
沢山異人館やそれっぽい外観の
建物が集まってるエリアだから。
土地勘のない人は迷うかも知れない。
立派な門の…向こうには広い庭がある、
一軒の異人館の前に到着した。
手作りのウエルカムボードが
掲げられているので。
会場の旧レイン邸はここの様だった。
白塗りの壁の洋風建築に
グレーの色をした瓦屋根の。
和風と洋風がミックスした異人館で。
外について居る黒塗りの
螺旋階段が印象的な建物だった。
かなりお庭も広いから、
テーブルセットもあるし。
季節が良ければこのお庭で
ガーデンウエディングも出来そうだ。
『わぁ~~、素敵ですねぇ。
実は私っ、結婚式って
出席するの初めてなんですっ…』
この数年のコロナの影響や
若い世代の結婚式離れの
深刻さがうかがえるような
彼女の発言に…簡単に
今回の結婚式は会費制の結婚式だと
彼女に説明をしてあげた。
『じゃあ、お祝儀じゃないから。
会費は…こんな袋にお金を、
入れなくて良かったんですね』
受け付けで受付をする時に
会費を渡す様に説明して。
後は中に入ったら、周りと
同じ事をする様にと彼女に
簡単にアドバイスをして。
自分が受付をするから、
私の真似をしてくれたら良いからと。
少し後ろで見ている彼女に
お手本になる様にしながら
会費を支払って受付を済ませると。