第12章 12月12日の火曜日
え?
え?
え?
ちょっと待って…?
この人…今週の土曜日って言ってた?
今週の土曜日って…港斗君の
会社の同僚の人の…結婚式…だよね?
それに…今、
生田クンって…言ったよね?
その…、生田クンって……
まさか…、港斗君の事??
気配を殺して…と言っても、
気配何て殺さなくても…
元から存在感無かったから、
居たの気が付かなかったとかって
言われるタイプだから。
元からオーラがない上に、
意識をして気配を殺しながら、
そっと店内を移動して。
『そうなの…生田クンにさ
婚約者出来たとからしくてぇ。
んでぇ、当日は…バッチリ
メイクとヘアセットして貰って。
生田クンに…
アプローチしちゃおうかなって。
そうなんだよ、告白した時はさ
同じ会社の人と
そう言うの無いんでって
断わられちゃったんだもん…
マジで、信じられないし』
ええ?
ええ?
いや…クリスマスに、
まーくんと過ごすって話してるのに
生田クン…をどうするつもりなの?
『違うって、二股じゃないって』
ええ?
違うの?
二股で托卵じゃないの??
『そうだよ、あくまでも
まーくんは…チンコが良いだけだって。
あ、これ可愛ぃ~』
相手の女性を右手に見ながら
左へ回り込む様に移動して。
巴は…ある事に…気が付いた。
電話を大声でしてる女が
スマートフォンを持っている左手。
その左手の薬指に
指輪が2本はまって居て。
結婚指輪に婚約指輪を重ねて
2本はめるのは…
珍しい事じゃないけど…。
一気に…自分の顔からサァっと
音はしないが音を立てた様にして。
血の気が一気に
引いて行くのを…感じて。
「嘘…でしょ…?あの指輪…」
あの…女の左手の薬指の指輪には…
2本とも…見覚えがあって。
あの…人だ…と…言うのを…、
顔をちゃんと見る前に
…分かってしまった。
それから…早足で…逃げる様にして、
巴は
そのランジェリーショップを後にして。
涙で自分の視界を…滲ませながら
ショッピングセンターの
駐車場に向かった。
さっきの…、あの人がしていた指輪…。
あの指輪…。
あの時……、私が…雄介さんと
別れたあの日…、雄介さんの
隣に乗っていた女が
指に…してた…指輪だ…。