第11章 12月9日の土曜日~10日の日曜日
その他にも…
色々なパターンに木が点滅する
エリアや、氷のお城の様な
寒色のライトだけで統一したエリア。
周囲のイルミネーションと
連動して光るBEKOBEの
光るモニュメントもあって。
その1つ1つを、
スマートフォンに納めて。
光のトンネルの中で
一緒に記念撮影したりして。
ここのメインの建物は
外国のお城風になって居るのだけど
白とピンクで統一されたライトで
ライトアップされていて。
しばらくそれを眺めていた。
『巴さん…これ…、
渡しても良いですか?
本当はクリスマスにお渡しする
つもりで用意してたんですけど…。
来週これ…着けて、結婚式に
出て貰えたら嬉しいなって…』
そう言ってこっちの手に
小さな箱を彼が握らせて。
上から彼の手で包み込まれる。
「みっ、港斗…君…これ…って」
『流石に…婚約者だって言う女性に
そんな安物の…指輪はめさせてる
男だって周囲に思われたくないので。
巴さんには…これをその日に
今してる指輪の代りに
して貰いたいなって』
「………指輪…」
あの…前にインフルになった時に
約束していた安い指輪を
プレゼントするって話は…
私の体調が治ってから、
指輪は買いに行ったから。
ストーンマーケットで買った
3000円の指輪を…今はしてるんだけど。
そうか…、その時に私の
左手の薬指の指輪のサイズ…
一緒に買いに行ったんだから
当然彼は…知ってる訳で…。
『クリスマスプレゼントにって…
用意してた物なので、
婚約指輪じゃない値段ですから』
「港斗君…分かってて…
この指輪…今日持って来てたでしょ?」
『あはは、バレちゃいましたか?
ええ、だって、そう言う事なら
巴さん
これ受け取るしかないですし、
来週の土曜日にはこれ着けるしか
選択肢ないかなぁ~って。
だから…受け取って…貰えませんか?』
スルッとこっちの手袋を彼が
脱がせて自分の上着のポケットに入れると。
巴の左手の薬指にはまっている。
アメジストの指輪を外して。
自分がクリスマスに用意していた、
プレゼントの指輪を
巴の指にはめる。
『ピッタリですか?サイズ』
「サイズは…ピッタリだけど…」
『もしかして…怒ってます?』
「べ、別に…怒っては…居ないけど…」