第10章 12月3日の日曜日
『それとも…スケートとか
ボードとかの方が良いですかね?
六甲山スノーパークにでも行きますか?
一番近い、ゲレンデですけど…』
「港斗君…、そんな毎週毎週
出掛けなくても…、大丈夫だって。
冬のイルミネーションも
スキーもスケートのボードもね、
まだ、シーズン始まったばっかりだし。
来年になってからでも楽しめるからね?」
あっちへ行こう、こっちへ行こうと
彼が次から次に提案をして来るから。
確かに今月はボーナス月だけど…。
『あ、でも…イルミとか
ウィンタースポーツも良いですけど。
温泉旅行とかも捨てがたいですね。
冬は…やっぱり松葉ガニの季節ですし、
城崎や、香住や竹野…ちょっと
足を伸ばして、
夕日ヶ浦温泉はどうですか?
カニなら、1月がシーズンの中でも
一番カニがいい時期ですし……』
「温泉旅行か…、温泉に浸かって。
美味しい松葉ガニを頂いて。
美味しい地酒…をくいっと…。
雪景色を眺めながら、露天風呂に
浸かるのも…良いなぁ…」
『やっぱりそうですよね?
じゃあ、1月は…、二人で
一泊で、カニ食べに行きましょうよ。
あ、でも来年のルミナリエが
今年みたいに1月だったら、
一緒に観に行きましょうね?』
そう嬉しそうな顔をしながら、
先の予定ばっかり話をして来て。
こんな風に話をしている彼を見てると。
土曜日にちょっと会うのが
遅くなるから…なんて…
気にする必要も無い…問題だなって。
そんな風に思えて、考えるのをやめた。
「港斗君は…いつも、
先の話ばっかりしてるね…」
『え、あ、そうですっけ…?
あんまり…考えた事…
ありませんでした。
面白そうだなとか、
楽しそうだなとか。
行ってみたいなって思ったら、
…巴さんと…一緒が良いなって』
この後はどうしますか?と
彼がこっちに尋ねて来たので。
ツリーとあの注文した
ライトを一緒に点けて
眺めてみたいなって言ったら。
夕飯だけ…、家に帰るまでに
食べてから帰る事になって。
夕飯を済ませて、アパートに戻ると。
ツリーとオーナメント付きのライトと
プレゼントの形をしたライトを点けて。
二人で肩を並べてそれを眺めていた。