第8章 静かな…土曜日
『温め…しときますか?』
「今は…寒く…ない…って…」
『巴さん…ッ』
キスをして来ようとしたのを
こっちの手で彼の口を塞いで
キスをされるのを阻止すると。
「もうっ…、
先にご飯を食べてからね?
今日は…港斗君が好きな、
エビ沢山のグラタン用意してるから。
今から…グラタン焼くから…
ちょっとそこで…待っててね?」
『良い匂いしてると思ってたら、
今日はグラタンなんですか?』
グラタンをトースターで
こんがりと焦げ色が付くまで
焼いている間に、
コンロに火を点けて。
作っていたスープを温め直すと。
IKEAで買った深いボウルみたいな
いや、スープ皿よりは
ボウルの形状の深皿にスープを入れて。
水菜のサラダは木製の
サラダボウルに入れてあるから。
サラダトングを添える。
『僕、テーブル拭いておきますね』
そう言って、彼が
こっちが温め直している間に
リビングのテーブルを
アルコールの厚手の
ウエットシートで拭いて
綺麗に消毒してくれていて。
「うん、拭けたらこれとこれを
そっちにお願いします」
取り皿を2枚と、お揃いの
お箸を2組。スプーンを2本重ねて置いて。
冷蔵庫に入れていた、
蓋つきのガラスコンテナに
入れて置いた焼きパプリカの
ピクルスに取る様に別の箸を添える。
『次に運ぶ物、ありますか?』
「うん、じゃあ…これも…お願いします」
こちらに手を出して来た
彼の手の上に、それを乗せて
上から自分の手を重ねて握らせると。
パチッ…と…彼と
視線がぶつかってしまって。
ちゅぅ…と…キスを
額にされてしまって居た。
そのまま…そっと…、お互いの
唇と唇を合わせるキスをして…。
「ん…っ…港斗…君…ッ」
『こうしてると、何だか
新婚さんみたいじゃないですか?』
ちゅ…っ…、ちゅ…と
そのまま…短いキスを繰り返す。
『じゃあ、これも…あっち
持って行って置きますね』
そうキスを突然切り上げられて、
彼がこっちに確認して来て。