第8章 静かな…土曜日
『とりあえず、先に
ツリーを組み立てましょうか?』
「ねぇ、港斗君…」
私が、クリスマスツリーに
年甲斐もなくはしゃいでたから。
先にツリーを彼が組み立ててくれて。
3分割になってる本体を差し込んで、
畳まれてる枝を綺麗に整えて。
台座に挿したら、
150センチのツリーが
ヌードツリーの状態になる。
『はい、何ですか?巴さん』
「どうして、
ピンクのツリーにしたの?」
『ああ、このツリーですか?
普通のと、白のもあったんですけどね…
ああ、後、ブルーのもありましたけど。
巴さんの…お部屋には、
ピンクのツリーが一番合うかなって』
「一番…合うって…、私ッ
36歳…なんだよ?…港斗君」
『でも…こんなに可愛い、36歳の
彼女は…どこ探しても、ここにしか
居ないって僕は思ってますけどね?』
そう言って笑って居る
彼のその笑顔を見てしまうと。
もう…この12歳年下の彼には
私は敵わないって思ってしまって居て。
「つ、ツリーの…飾りつけしようよ…ね?」
『そうですね…飾りつけ…しますか』
そう言いながら、
グリッター加工されている
キラキラのピンクのポインセチアの
オーナメントを港斗が
巴の髪に乗せて来る。
『ほら、可愛い。似合いますよ』
「もぅ!ふざけて、遊んでないで。
これは私に飾るんじゃなくて、
そっちに飾るオーナメントだからっ」
『え~、でも…凄い可愛いですよ?』
36歳の女が…頭にピンクの
ポインセチアを乗せてる姿を
さらっと可愛いと言い切れる…。
この彼が…末恐ろしいと思いつつ。
そのままでと言われたので、
ポインセチアの飾りを付けたままで
高い場所の飾りは彼に任せて。
ピンクのクリスマスツリーに
ふたりで飾りつけをして行く。
仕上げに足元の所に、
ツリースカートを付ければ。
足元の部分が見えなくなるから。
『これで、バッチリですね』
「うん、こうしてオーナメントが付くと
更に、可愛いね、ピンクのツリー」