第74章 彼からの2つの提案
テレビはホーム画面に戻したら
勝手にグループホテルの紹介の
映像が流れ始めたので。
それをぼんやりと眺めていて。
「あ、このホテル……前に…
三宮…行った時に…泊まった所…」
あの…いつもの葵ちゃんと
小林君の2人と一緒に
三宮で飲み会をした時に…
泊った…北野の方にあるホテルが…
そのグループホテル紹介みたいな
動画に出て来て。
彼と一緒に泊った部屋の画像で
あ、知ってる部屋ってなったんだけども。
『そうですよ、ここは有馬ですけど。
前に泊った北野にもありますし、
明石とか伊川谷にもグループがありますし。
ああ、そうだ…巴さん…。
あのいつもの2人が今月も一緒に
4人でお出掛けしたいそうですよ?』
「あの…ふたりってまだ…その…
友達以上恋人未満みたいな…の…?」
巴のその言葉に…港斗が
う~んと唸り声を上げて、
眉間にしわを寄せてしまって。
『その…実は…その件で…
相談を…受けてましてね…?』
「私も…だよ…、葵ちゃんが
小林君に思い切って告白したいって
そんな風に考えてるって……言ってたよ?」
『そうなんですよ…その…実は…
僕は…小林君の方から…、
エビちゃんに…お付き合いしませんかって
ちゃんと…言った方が良いのかなって…。
小林君の方も…僕達4人でこう
毎月あちこち行ったりとかして、
エビちゃんと…なら前に進めそうかなって
思える様に…ね、なったみたいで…』
「え?あ、そうだったんだ…」
『GWのあの旅行の時も…あの2人
もう…付き合い始めたんだって
一緒に朝日見てた位だったし、
思ってたんですよね、僕も……』
あの…大阪の北港マリーナの
クルーザーのフライブリッジで
2人で朝日をね…見てたんだよね…。
だから彼も二人はお付き合いを
スタートさせたものだと思って居たら。
お互いに言い出せなかったらしく……
まだ…恋人同士ではないのだそうだ…。
『僕もね、あのGWの旅行の前に
いい加減に今のままじゃエビちゃんが
可哀想だから、どっちかにしてあげてとは
小林君に言ってたんで、告白したと
思い込んでたんですよ…でもまだみたいで。
でも…そのLINEとか…、二人で
飲みに行ってとかじゃなくて……』