第9章 ハナ目線
今日は、ハロウィン手乗りMOBを飼い始めて丁度一ヶ月になる。
最初は、服を着ないバンパイアさんに振り回されたり、ちょっとおっちょこちょいなミイラ男さんにヒヤヒヤしたり、控えめなフランケンシュタインさんとの接し方に悩んだり、スノーゴーレムさんのことを女の子だと思い込んでいたりしていたけど、だいぶ私のことを信頼してくれたみたい。
この小さなオオカミさんとは難なく接しているなと思っていたんだけど、昨日初めて置いたMOB観察カメラにちゃっかり飼育カゴの鍵を内側から開けるのを見てしまって。一番のイタズラっ子はこの子かもしれない、とオオカミさんをお風呂に連れて行こうとした時、脱衣所にある洗濯機が動いていないことに気が付いた。
「うーん、洗濯機が動いていない……?」私はもう一度スイッチを押すが、うんともすんとも言わなかった。「まぁいっか」
うちの祖父母宅は家電屋である。何か余ったものや中古の洗濯機くらいありそうだな、なんてお気楽思考で片付けて、手乗りMOBたちのお風呂や着替えを済ませた。
このスノーゴーレムさんは……他に着替えがないので魔女の格好をさせたが、本当はどうしたらいいのか私は悩んだ。けど今日は、MOBたちと会話が出来る人の家に行くのでそれも解決するだろうと、五人を入れた飼育カゴを抱えて外へ出掛けた。