第22章 林間合宿 3日目※
いよいよ3日目がやってきた。
作戦決行は夜だけど、私は朝起きてからずっと心を躍らせていた。それはもうらしくもない鼻歌なんて歌ってしまうほどに。
「お、やる気まんまんじゃねぇか!!今日も頼むぜ!」
今日も切島くんと、尾白くんで特訓をする事になっている。切島くんが腕まくりをしながら私に言ってきた。
『うん。あ、ねえ、その前に。B組も補習の人っているの?』
今夜の作戦のためにできる限りの情報は知っておきたかったので切島くんに訊ねた。
「おー。いるぜ。物間ってやつな。あいつ、うるせぇんだ。」
困ったように笑いながら言う切島くん。
物間?名前知らないけど、まあいっか。
『ふーん。そうなんだ。』
「なんかあったのか?」
『ううん、なんでも。始めよっか切島くん。』
切島くんと距離を取る。その場で軽くジャンプをし一歩、二歩と距離を詰めていきひたすら足蹴りを入れていった。
「く...ッ....!!やっぱすげーな!!」
「!次俺もお願い。」
『いいよ、尾白くん。やろ?』
一気に駆けてきた尾白くん。昨日の経験を生かしてか尻尾、両手両足を自在に使いなかなか攻撃を読ませてくれない。
「昨日みたいに簡単にやれると思うなよ....!」
昨日の今日で、もう対策をとってきてる。
さすがヒーローの卵だ。
でも────
敵は前だけとは限らないよ
『.......後ろだよ尾白くん』
私は尻尾で攻撃を繰り出す尾白くんの尻尾をそのままジャンプ台にし、尾白くんの肩に手を着いて空中で身を翻し背後を取った。
「...え......」
彼が振り返ると同時に尾白くんの大きな胸に蹴りを入れた。
「かはッ.....うぅ.....」
「あーー!!!くーっ!!尾白今のは惜しかったなぁ!!!」
頭を抱えて膝から崩れ落ちる切島くん。
「おい」
他の生徒にアドバイスに回ってたイレイザーヘッドが私たちのもとにやってきた。昨日、ミスターに連絡しているところを見られてるので極力関わりたくなかったのだが。
「前から言ってるが、間合いの詰め方が──」
『雑、バレバレって言いたいんでしょ?』
「チッ......分かってんなら直せ。」
弔くんにも何回か言われてるし。
癖って治らないもんなんだな。