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一宵の舞

第1章 きっかけは


 俺が雅楽舞踏を始めたきっかけは、こんな些細なことからだった。
「なぁ、お前ん家金持ちなんだろ?」
 今思えば失礼な言い方だったと思う。小学生男子が言うことなんてこんなレベルだったかもしれないが、当時の俺は友達の家に遊びに行きたいがために振った突拍子もない質問だった。
「そうだけど、オレん家には来ない方がいい」
 この頃から仲良かった友達のマコトが、俺の言わんとしていたことが分かったのかそう返されてしまった。だが俺は、そんなことでは引き下がる子どもではなかったのだ。
「そんなにお前んとこのとーちゃん怖いのか?」
 てっきり、家に人を入れたくない厳しい家なのかと思っていたんだが。
「違う。なんならむしろ友達連れてこいって言われる」
 マコトが苦々しそうに言っていたのに、俺はこの時それには気付かなかったのだ。
「じゃあ行こうぜ! お菓子持ってくからよ!」
 俺は軽い気持ちでマコトの家に遊びに行ったのである。
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