第4章 プレイルーム
『こんな風になるまで…、
僕で感じて貰えて乱れて貰えて…。
男冥利に尽きる物ですよ』
「あああっ…んんんっ、あふ…ぁ
んぐ…は、あ…ぁ、
ぅ…あぁあああ゛んッ」
何が…何なのか…分からないけど…ッ、
兎に角…
気持ち良すぎる位に気持ち良くて。
与えられる快感に、喘ぐままになる。
『ルール違反…なのは…、
分かっては居ても…。
こうしてる…間だけでも…、
貴女の…その…
マスカレイドマスクの下の素顔を…、
僕だけの…物にしてしまいたくなる…ッ』
自分の名前も…素顔も明かさない。
一夜だけの出会いを楽しむ場所。
それが…このマスカレイドナイト…。
この…今だけの…出会いを…。
今だけに…留めて置きたくないと…。
そんな風に…
言葉を…尽くされてしまったら…ッ。
この…顔も…
名前も知らない…この人を…。
ナオトさんの…事を…
好きに…なってしまいそう…ッ。
ここの…会員登録をした時に…、
相手の本名や連絡先を聞くのは禁止だと。
スタッフの人からも…言われてるから。
素顔を隠す、このマスカレイドマスクも。
自分の容姿に囚われずに…、
自由な夜を楽しむための物で。
その下にある…素顔は…、晒さないのが。
明かさなのが…ここでの…決まりで…。
ましてや…、
彼は…ここの常連なのだから…。
そんなルールは…
当然…、知って居るはずだ。
私が…何を言っても感じすぎてて…
聞こえてない…感じだったから…。
彼は…私に…
聞こえてない前提で言って来たのか…。
自分の胸が…
締め付けられるのを…感じる。
この…自分の胸の中にある…感情は…。
言葉にする事が…出来ないから…。
溢れる…行き場のない感情が…
自分の目から涙に代わって零れて。
マスカレイドマスクの下に流れて行く。