第5章 【降谷 零】バーボン
エレベーターに乗り込み扉が閉まると同時にフィアーノを抱きしめる。
石鹸の香り・・・。
最近、僕と2人で会う時はいつもこの香りがする。
初めは、期待してくれているんだ、と気持ちが昂ったが、彼女の首や身体を見てそれは一瞬で崩れ去った。
ジンが僕に牽制している。
彼女はわざわざ、ジンに抱かれ印を付けられてから僕に会いに来ているのだ。
自分のもとを離れていくのを恐れているのだろう。
愛人と言われているが本気でフィアーノのことを・・・。
「これは・・・・・・」
「あ・・・あは。すごい噛み跡でしょ?めちゃくちゃ痛かったんだから!」
「・・・可哀想に。こんな綺麗な肌に傷を付けるなんて・・・」
噛み跡を指でそっと撫でると艶のある吐息が聞こえた。
エレベーターを降りて急いで部屋に入り、大きなベッドに彼女を押し倒す。
「好きです、フィアーノ・・・・・・。1年前の今日、僕達が結ばれたこの部屋で・・・あなたと恋人になりたい」
「バーボン・・・」
「もう、ジンのもとへは戻らないでほしい。あなたはこの組織にいるべき人間ではありません。僕と一緒に抜け出そう」
「・・・私も好きよ、バーボン。ジンに殺される覚悟はあるの?」
「そんなことさせない。あなたのことは僕が必ず守り抜きます」
フィアーノとバーボンではなく、本当の名前で、外の明るい世界へ──
「ありがとう・・・・・・嬉しい・・・」
「フィアーノ・・・!!」
彼女の赤くて柔らかい唇にキスをする。
この流れる涙さえも僕のものだ。
夢中で唇を合わせながらお互いの服を脱がせていくと煌びやかな黒のドレスの下には、紅くて濃い印が数え切れないほど付いていた。
彼女を縛り付けているあの男に腹が立ち、自分の印で上書きしていく。
「んっ・・・はぁ、ん・・・!」
「綺麗です・・・フィアーノ・・・愛してる・・・」
「あんっ・・・もっと・・・もっと言って・・・」
「愛してます・・・心の底から、あなたが欲しい・・・!」
敏感な彼女は、甘い言葉を囁くだけで腰をくねらせ色っぽい声を聞かせてくれる。
乳首を弄れば、ビクビク身体を震わせ何度も達している姿が堪らなく可愛い。