第5章 【降谷 零】バーボン
「ふっ・・・ん・・・んぁっ、や、んんっっ・・・!!」
「はッ・・・は・・・くッ・・・・・・ッ」
唇を合わせながら2人で絶頂を迎える。
私達の間に、可愛い、好き、愛してる・・・などの甘い言葉はもちろんない。
甘い言葉攻めが好きな私にとっては相当不満だが、それももう慣れた。
終わってからも毎回身体中に口付けられるせいで、キスマークが一向に消えないことが悩みだ。
----*----*----*----*----*----*----*----*
「じゃぁね、ジン。ちゃんと寝なよ?」
「はっ・・・・・・ガキかよ」
シャワーを浴びてメイクと着替えを済ませる。
今夜は他の男との密会・・・という名の監視の仕事だ。
ジンに挨拶をして部屋を出ようとすると、後ろから腰を抱き寄せられた。
「なぁに?キスはしないよ?リップ落ちるから」
「・・・もういいんじゃねぇか?アイツの監視は」
「何それ?ジンがやれって言ったんでしょ?どうしたの、最近なんか・・・・・・い"ッ・・・!!!」
肩を強く噛まれ、激痛で涙が出る。
何なの?犬なの?猫なの?狼なの?
噛まれた所を見ると血が滲んでいて、キスマーク同様、所有印を付けられたみたいだ。
「ねぇ、もう・・・痛いの嫌だからやめて・・・わかる?痛いの!!」
「うっせーな。騒ぐな。早く行け」
「はぁ?誰のせいなの!?あーー早く行って癒してもらお!!」
「・・・フィア。夜明け前に帰ってこいよ」
「・・・・・・」
何も言わずに部屋から出る。
最近、監視の仕事に行く日はいつもこうだ。
私の気持ちに薄々勘付いているのだろう。