第3章 【降谷 零】上司からの愛
カチャ・・・と、浴室の扉を開ける。
「大丈夫か?もういいぞ」
「はー・・・こっちに来ないかすごい焦りました・・・」
「悪かった。そんな所に隠れさせて・・・」
浴室にいたを連れてリビングに戻る。
シャワー中の行為がつい長引いて風見が自宅に来るギリギリの時間になってしまった。
急いで着替え、ドライヤーをしている最中にインターホンが鳴ったので、申し訳ないが浴室に隠れてもらっていたのだ。
風見が洗面所に行った時は気が気ではなかったな。
「ふふっ。風見さん、1人でブツブツ言いながら探ってて笑いそうになっちゃいました!ちょっと可愛かったです」
「ふーん?」
僕が心配している間、彼女は風見の言動を楽しんでいたらしい。
何が可愛かっただ。あの男の何処が可愛いんだよ。
「風見さんに会えた?」と、ハロを膝に乗せて頭を撫でている。
ハロのことは普段から可愛がっているが、僕の許可なく僕の女の膝に乗るのは見過ごせない。
さりげなくからハロを離し、自分の膝に彼女を座らせる。
「で?何で敬語と降谷さん呼びになってるんだ?」
「あっ・・・すみません、風見さんにつられて・・・」
「・・・・・・気に入らない」
「ふる・・・んっ!」
そんな可愛い顔で風見の話をするな。鼻の下を伸ばしているあいつの姿が目に浮かぶ。
と付き合ってる、と言えたらどんなに良いか。
本当は職場でも強く当たりたくないし、常に傍に置いて甘やかしたい。
僕が多忙なせいで、と風見が2人で過ごす時間が長いのも、かなり気に入らないが必死で耐えてるんだ。
「・・・・・・好きだよ」
「ん・・・好き・・・零・・・っんん・・・!」
「好きだ・・・好きだよ・・・・・・!」
ちゅっちゅっ・・・と唇を重ねると、が蕩けた表情を見せてくれる。
実際、自宅で2人きりで会うのは久々で、1日中抱き合っていたいと思っていた。
明日からまた忙しくて2人の時間が取れなくなる・・・。
いつでも僕を思い出せるよう、の身体に印を付けていく。
何度伝えても、抱き合っても足りない。
・・・愛してる、誰よりも。
Fin.