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あの方々の守護霊は2[dzl]

第7章 おんりーさんの守護霊


「いやぁ、私、生まれた年から恋人なんていたことなくて」
 つい手に取ってしまったと言ってもう一度お守りを見ると、もう守護霊は視えなくなっていた。
「おんりーさんは? 何か気になるものあります?」
 話を逸らそうと私がそう聞くと、うーんと悩んでから、これはどうですかと聞いてきた。それは干支を象ったお守りで、十二種類の動物がずらりと並んでいた。
 その中でおんりーさんが指していたのは兎のお守りだった。
「えーっと、おんりーさんは兎年なんですか?」
「違うんですが……ぼんさんって兎っぽくないです?」
「え、ぼんじゅうるさんが?」
 そんな冗談を言う人だとは思わなかったので面白いですねと私が笑うと、つられたようにおんりーさんもくすくす笑った。それからおんりーさんがこう言ったのだ。
「やっと自然に笑いましたね」
「え……」
 そこでようやく私は気が付いた。怖い幽霊にばかり気を取られて表情が堅くなっていたことに。
「よかった」
 おんりーさんが本当に安堵したかのようににこりと笑った。あ、この笑顔はモテるやつだ。私は幽霊を前にしている時とは違う緊張感を覚えて、慌てて目を逸らした。
「私、兎のお守り買おうかな」
 なんて言って。
 その後、おんりーさんは五人のメンバーにもお守りを買った。ゴリラや雪だるまのお守りが売ってる訳でもないので、普通のお守りを買って。
 私は、兎の守護霊が憑いている兎年のお守りを買った。よろしくね、と心の中で話し掛けてみると、長い耳を揺らしてじっとこちらを見つめ返した。私は守護霊と言葉を交わしたことはないけれど、心の声は聞こえたりしているのだろうか。
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