【R18】禪院直哉→私←五条悟❇︎傷だらけの婚約者❇︎
第18章 始まりと終わり※
「………………。」
目を覚ますと、白い天井が見えた。
でもその視界は霞んでいて、頭も働かない。
そこが病院だと気が付いたのは、随分とぼーっとしてからだった。
「……気分は?」
そこに悟の声が聞こえて、その方向に顔を動かそうとも身体が動かなかった。
「……そんなに悪く無い……。」
出した声は思ったよりも大きくなくて掠れていた。
どうやら自分は今、身体を動かす事も出来ずに、声を出す事もままならないと知った。
私はどうやら生きている様だ。
最後に見た自分の血だらけの手。
その血の感触がまだ残っている。
そして動かしたくても動かない自分の身体に、思考さえまともに働かない頭は、痛みを感じる事もなく、倦怠感だけが身体に残っている。
麻酔がまだ効いているんだ。
何も考えられないのに瞼が重かった。
「……今はゆっくり休め…。」
悟がそう言ってななの顔に触れると、分厚い包帯の感触がする。