【R18】禪院直哉→私←五条悟❇︎傷だらけの婚約者❇︎
第13章 夏の日
優しく抱かれて、キスを繰り返すこの時間は荒れていた心を落ち着かせるのに充分だった。
それが好きかどうかも分からない男の人でも。
直哉を一瞬忘れるには、充分な時間だった。
「はぁ…なな…、ずっとこうしたかった…。」
腕の中にななを収めて、キスを繰り返す。
こんな時を、ずっとななに求めていた。
だけど直哉が側に居るななは頑なにだった。
心に少しの隙も見せなくて、触れる事さえ躊躇させた。
無理矢理触れて嫌われる方が嫌だった。
だから直哉を引き離すのが1番だと思っていた。
直哉の育てた依存性は、中毒性が高く、1人で乗り越えるには精神を疲弊させる事は分かっていた。
だから充分に2人に恋愛をさせた。
その後、すべての呪いを食い尽くすのは自分だと分かっていたから。
弱っている時に付け入れるのは卑怯だと?
そんなのは欲しいモノを手に入れられない奴のいい訳だ。