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【R18】共依存【黒尾鉄朗】

第1章 出会い



「頼むよ黒尾!」
事の発端は友人からの電話だった。
「俺全部奢るから、な!頼む!狙ってる子が来るんだ。」
3対3の合コンを主催しようとしている友人は、知り合いの女の子に何とか狙っている子を連れてきてくれと頼み込んで承諾を得たそうだ。
2対2では魂胆がバレバレなので3人らしい。
女の子は3人集まったがどうやら行くはずだった男の1人が流行りのウイルスに感染したと連絡が来たらしい。
2時間後に始まるその会に出席してくれる人間を探している、要は人数合わせた。
「今日休みだろ?SNS見たぞ、暇だよな!?」
どうやら予定が無いのはお見通しのようだ。
こんな事にだけ抜かりのない友人にため息をつきつつ、乗り気のしないその宴をどうやって断ろうか考えいると
「今日来る女の子、バレー好きらしいぞ!」と少しだけ、ほんの少しだけ魅力的な情報を出されて、まぁ行ってやらなくもないかと友人の誘いを受ける事にした。
「マジか!!イケメン連れて行くって約束しちゃったから助かるわ!」みるみる明るくなる友人の声を聞いて
「お前の奢りだからな!」と念押しして通話を終える。
別に金に困っちゃいないが、合コンには仕方なく来たんですよという演出だ。
ピロンと電子音がして友人から店の住所が送られてきた。
タップしてネットのページを開いてみるといかにも女子が喜びそうな内装の飲み屋で、あいつがこの店を探して予約したのかなんて思うと少し笑えてきた。
またピロンと通知音がなって、遅れるなよ!とメッセージが届く。
はいはいと適当なスタンプを送って、支度をはじめる。
部屋着から細身のジーンズに履き替えベルトを通す。ゆるいロンTに堅すぎないジャケットを羽織って、気合いを入れすぎないようにアクセサリー類は付けずお気に入りの香水を少しだけ手首にのせる。
コンパクトな斜め掛けのレザーバックにイヤフォンと財布、キーケースを突っ込み、携帯の充電があることを確認して家を出た。
休日にあまり出かけないため、スーツ以外を着るのは久しぶりで少し気分がいい。シーズン前に買ったがなかなか出番のなかったハイカットのスニーカーに頬を緩ませ、軽い足取りで駅に向かう。
「あいつに感謝だな。」
友人が振られたら、カラオケくらい付き合ってやるか
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